令和2年度は、世界的に新型コロナウイルス感染症の流行が経済活動へ甚大な影響を与え、未曾有の経済危機を引き起こした。
日本経済においても、「訪日外国人の激減を通じたインバウンド需要の消失」「中国の生産活動縮小に起因する供給制約を通じた生産活動の停滞」「感染防止のために取られた施策等による経済社会活動の抑制」「世界経済の停滞を受けた輸出の大幅な減少」等、様々な経路を通じて、甚大な下押し圧力にさらされた。
令和2年度の名目国内総生産は前年度比3.5%減で、8年ぶりの減少となった。実質国内総生産(平成27暦年連鎖価格)は前年度比4.1%減で、2年連続の減少となった。
令和2年度の名目県内総生産は前年度比6.5%減で、3年連続の減少となった。実質県内総生産(平成27暦年連鎖価格)は前年度比7.1%減で、2年連続の減少となった。
また、県民所得は前年度比10.2%減で3年連続減少となり、それを令和2年10月1日現在の総人口で除した1人当たり県民所得は前年度比9.8%減で、前年度から31万8千円減少し、293万7千円となった。
令和2年度の群馬県経済は、名目、実質ともにマイナスとなった。
本県の基幹産業である製造業は、主力の輸送用機械製造業が大幅減となったほか、はん用・生産用・業務用機械製造業も大幅に減少した。このため、食料品製造業や電気機械製造業など一部好調に推移した品目もあったものの、製造業全体では二桁減となった。また、非製造業では、宿泊・飲食サービス業が4割超の減少となったほか、建設業や、運輸・郵便業、その他サービスなども大きく減少した。このため、県内総生産は現行基準で最大の減少幅を記録した。
生産活動の低迷は、県民所得を押し下げることとなるが、特に民間法人企業が収益を低下させたことにより、民間法人企業所得が4割近い減少となったことなどから、県民所得は二桁減となり、1人当たり県民所得も大幅に減少した。
県内総生産を支出側からみると、個人消費や企業の設備投資などの県内需要も移輸出などの県外需要もともに減少となった。
令和2年度の県内総生産(生産側)は第1表のとおり、8兆6535億円で前年度を5972億円下回り、名目経済成長率は6.5%減(令和元年度 0.2%減)と3年連続で減少した。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成27暦年連鎖価格)でみると8兆6579億円で、前年度を 6665億円下回り、実質経済成長率は7.1%減(同 0.2%減)と2年連続で減少した。
なお、国の経済成長率は名目で3.5%減、実質で4.1%減となっている。
県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2表のとおりである。
第1次産業(農林水産業)は、農業が減少したため、全体で0.2%減となり4年連続で減少した。
第2次産業のうち製造業は、主力の輸送用機械製造業が40.1%減と大幅減となったほか、はん用・生産用・業務用機械製造業も22.7%減と大幅に減少した。このため、食料品製造業や電気機械製造業など好調に推移した品目もあったものの、製造業全体では、12.2%減と二桁減となった。建設業は、8.3%減と大幅に減少した。第2次産業全体では、11.7%減となった。
第3次産業は、宿泊・飲食サービス業が42.0%減と大幅減となったほか、運輸・郵便業が11.2%減、その他サービスが11.2%減など減少幅の大きな産業が散見され、第3次産業全体では、2.9%減と6年ぶりのマイナスとなった。
産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3表のとおりである。
第1次産業は1.3%、第2次産業は38.3%、第3次産業は60.5%となった。
県民所得(分配)は第4表のとおり、5兆6954億円で10.2%減となり、平成24年度以来8年ぶりに6兆円を下回った。
なお、国民所得(分配)は375兆3887億円、6.6%減であった。
項目別の内訳は第5表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9割近くを占める賃金・俸給が2.5%減となり、全体では2.3%減と8年ぶりの減少となった。
財産所得は、受取が3.7%増、支払が8.7%減で、全体で4.5%増となった。
企業所得は、生産活動が低迷したことから、特に民間法人企業の収益が押し下げられ、民間法人企業所得が38.9%減と4割近い落ち込みを見せた。また、公的企業所得も181億円の赤字と、前年度の76億円から赤字幅を拡大させた。この結果、個人企業所得が0.8%増と僅かに増加したものの、企業所得全体は29.2%減となった。
県民所得(分配)を総人口で除した1人当たり県民所得は第6表のとおり293万7千円と前年度を31万8千円下回り、8年ぶりの300万円割れとなった(対前年度比▲9.8%)。
なお、1人当たり国民所得は297万5千円、6.4%減であった。
県内総生産(支出側)の名目値は第7表のとおり、8兆6535億円、6.5%減となった。また、実質値(平成27暦年連鎖価格)は、8兆6579億円、7.1%減となった。
なお、国内総生産(支出側)は名目で3.5%減、実質で4.1%減となっている。
県内総生産(支出側)を項目別にみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出が減少したことから、4.7%減と2年連続で減少となった。
地方政府等最終消費支出は、市町村の増加が都道府県と社会保障基金の減少を上回ったことから、0.5%増と4年連続の増加となった。
県内総資本形成は、公的部門で大規模公共事業が終了したほか、民間部門でも、投資を抑制する動きがみられたことから、13.0%減と2年連続の減少となった。
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