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統計コラム

第1回 ナイチンゲールと統計のつながり

「近代看護教育の生みの親」として有名なフロレンス・ナイチンゲール(1820-1910)。
 彼女が統計と深いつながりがあることを御存じでしょうか?

 イギリスの看護師で、クリミア戦争で負傷した兵士を看護した…ということくらいは聞いたことがあると思います。
 しかし、彼女の功績はそれだけでは終わりません。実は、イギリスの王立統計協会や米国統計学会の会員にも選ばれています。
 その裏にはこんな活躍がありました。

 ナイチンゲールが赴いたクリミア戦争では多くの兵士が病院に運ばれ、その死亡率はとても高いものでした。
 彼女は統計の知識を用いて、戦死者・傷病者のデータを分析し、彼らの多くが戦闘で受けた傷そのものではなく、負傷後の治療や病院の衛生状況の不十分さが原因で死亡したことを明らかにしました。
 つまり、衛生状況の改善により死亡率の引下げが可能だと分かったのです。

 そこで彼女は、統計になじみの薄い国会議員や役人にも伝わりやすいように、当時としては珍しかったグラフを用いて視覚的に訴えました。
 その結果、衛生状況は改善され、死者数は激減しました。

 統計やグラフの力を感じていただけるエピソードのひとつかと思いましたので、コラムの第1回目として御紹介しました。

第2回 1月14日 E.ハレーの命日

1月14日は「E.ハレーの命日」です。
 彗星(すいせい)に周期があることを最初に発見し、ハレー彗星にその名を残すイギリスの天文学者エドモンド=ハレー(1656〜1742)は、85歳で亡くなりました。当時としてはかなりの長寿でした。

ハレーは1693年に著作の中で、それまで偶然の結果と考えられていた人間の死亡に一定の規律性があること、つまり、集団としての人口においては人の死亡を予測できる一定の秩序があることを明らかにしました。

当時のイギリスには既にいくつかの生命保険会社がありましたが、適切な保険料を設定することができず、その経営はギャンブルの一種であるかのように考えられていました。ハレーの功績 とその後の統計の発達によって詳しい生命表が作成されるようになり、生命保険会社はようやく合理的な保険料を算出することができるようになったのです。

生命表は現在でも年金や生命保険の保険料を算出したり、将来の人口を予測したりする際には欠かせないもので、日本では5年に一度行われる国勢調査の結果などを基に作成されています。性別・年齢別にその年齢の人が平均してあと何年生きられるか(平均余命)等の数値を表しています。よく耳にする「平均寿命」というのは、生命表が示す0歳の平均余命のことです。

ハレーのほかにも、ケトレー、ラプラスなど統計学の発展に大きく寄与した人の中には天文学に通じていた人が少なくありません。これは、天体観測における誤差の扱いなどで数学を扱う機会が多いからとも考えられます。
 (出典:総務省統計局HP「なるほど統計学園」(http://www.stat.go.jp/naruhodo/)より)

第3回 AI(人工知能)と統計

AI(人工知能)というと、皆さんは、何を思い浮かべるでしょうか。

自動車の自動ブレーキシステムやスマートフォンの「顔認証」、スマートスピーカー等、今や、AIの影響を受けていない産業をみつけるのが難しいとも言われています。2019年1月の国会においても、安倍首相は、施政方針演説のなかで、人工知能を「第4次産業革命」として取り上げ、我が国の未来を開く成長戦略として位置づけています。

さて、そのAIと統計。全く関係ないように見えますが、AIと統計は、意外と関係が深かったりします。

「人工知能(Artificial Intelligence; AI)」を最初に提唱したのは、「人工知能の父」と呼ばれるマービン・ミンスキー、ジョン・マッカーシーらの人工知能研究者たちです。その提案とは「機械学習の実現」というものでした。人間が行っている学習能力と同じ機能をコンピュータで実現しようというアプローチです。機械学習とは、データベース等から、サンプルデータを入力して解析を行い、そのデータから有用な規則、ルール、知識表現、判断基準等を抽出し、アルゴリズムを発展させるというものです。統計の分析も、データにもとづく汎化・普遍化を研究対象としており、そこに大きな共通点があります。

その後、AI(人工知能)は、ブームと冬の時代を経るのですが、インターネットが急激に発展するなか、インターネット空間の膨大なデータを扱う技術が、ベイズ統計学(標本を必ずしも必要としない、母数が確率的に動くとみなす学問)によって次々に開発されます。迷惑メールのフィルタリングから、グーグルの躍進の原点となった検索エンジンに至るまで、これらはベイズ統計の産物と言われています。

そして、現在、「ビッグデータ」と呼ばれているデータに対し、AI(人工知能)が自ら習得するディープラーニング(深層学習)が登場し、大きなブームとなっています。このディープラーニングも統計的機械学習であり、統計数理がその基盤を支えていると言われています。

AIと統計との意外な共通点のお話でした。AIが未来を開く成長戦略と位置づけされているように、統計もまた、未来の礎を築く大事な情報基盤として役割を果たさなければと思います。

(引用・参考)

・平成28年版 情報通信白書

・大規模な統計分析と機械学習 SAS Institute Japan株式会社

・みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習 Benesse Corporation

・グーグル、インテル、MSが注目するベイズ理論 CNET Japan  2003/03/17

・「統計数理」から見たAIブームをすべて話そう 日刊工業新聞 ニュースイッチ 2018/05/25

・進化を重ねる人工知能の歴史 アンドエーアイ株式会社 2017/03/14

第4回 有名商品が示す各国の購買力 〜ビッグマック指数〜

各国の経済を語る上でその国の購買力の比較は欠かせないものです。

購買力は為替レートの決定要因となるなど、経済における重要な指標となっています。

購買力を為替レートに反映する手法としては購買力平価(PPP)があり、各国の購買力平価を比較する取り組みとして、 国際比較プログラム(ICP)が実施されています。

これは国連によって1969年に開始され、現在は世界銀行の主導で行われている世界的な事業であり、我が国もOECDをとおしてこの事業に参加しています。

国別の購買力を比較するためには各国で消費される同じような財を集計する必要があります。

しかし経済規模、文化、生活様式などまったく違う国の購買力を、それも世界規模で比較するのは容易なことではありません。

そんな中、英国の経済誌エコノミストはある商品に着目し、一つのおもしろい指標を生み出しています。

その名もなんと「ビッグマック指数」。

これはマクドナルドのビッグマックが世界各国でほぼ同じ共通のレシピで作られていることに着目し、 その価格差により各国の購買力を比較しようという指標です。

無論ビッグマックがパンや肉など限られた材料で作られている都合上、 それだけでその国の購買力を完全に代表することは出来ません。

しかしながら複雑な世界経済を直感的かつわかりやすく比較するのに、 身近な商品を用いたこのビッグマック指数はうってつけな指標になります。

私たちがよく知る商品の価格をとおして世界経済を見ることができる、何とも面白い話ですね。

出典:総務省統計局HP「国際比較プログラム(ICP)への参加」(http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/kokusai/icp.html)より

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