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統計コラム

 第3回 AI(人工知能)と統計

 AI(人工知能)というと、皆さんは、何を思い浮かべるでしょうか。
 自動車の自動ブレーキシステムやスマートフォンの「顔認証」、スマートスピーカー等、
今や、AIの影響を受けていない産業をみつけるのが難しいとも言われています。2019
年1月の国会においても、安倍首相は、施政方針演説のなかで、人工知能を「第4次産
業革命」として取り上げ、我が国の未来を開く成長戦略として位置づけています。

 さて、そのAIと統計。全く関係ないように見えますが、AIと統計は、意外と関係が深
かったりします。

 「人工知能(Artificial Intelligence; AI)」を最初に提唱したのは、「人工知能の父」と
呼ばれるマービン・ミンスキー、ジョン・マッカーシーらの人工知能研究者たちです。そ
の提案とは「機械学習の実現」というものでした。人間が行っている学習能力と同じ機
能をコンピュータで実現しようというアプローチです。機械学習とは、データベース等
から、サンプルデータを入力して解析を行い、そのデータから有用な規則、ルール、
知識表現、判断基準等を抽出し、アルゴリズムを発展させるというものです。統計の分
析も、データにもとづく汎化・普遍化を研究対象としており、そこに大きな共通点があ
ります。

 その後、AI(人工知能)は、ブームと冬の時代を経るのですが、インターネットが急激
に発展するなか、インターネット空間の膨大なデータを扱う技術が、ベイズ統計学(標
本を必ずしも必要としない、母数が確率的に動くとみなす学問)によって次々に開発さ
れます。迷惑メールのフィルタリングから、グーグルの躍進の原点となった検索エンジ
ンに至るまで、これらはベイズ統計の産物と言われています。

 そして、現在、「ビッグデータ」と呼ばれているデータに対し、AI(人工知能)が自ら
習得するディープラーニング(深層学習)が登場し、大きなブームとなっています。この
ディープラーニングも統計的機械学習であり、統計数理がその基盤を支えていると
言われています。

 AIと統計との意外な共通点のお話でした。AIが未来を開く成長戦略と位置づけさ
れているように、統計もまた、未来の礎を築く大事な情報基盤として役割を果たさなけ
ればと思います。

(引用・参考)

・平成28年版 情報通信白書
 ・大規模な統計分析と機械学習 SAS Institute Japan株式会社
  ・みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習 Benesse Corporation
 ・グーグル、インテル、MSが注目するベイズ理論 CNET Japan  2003/03/17
  ・「統計数理」から見たAIブームをすべて話そう 日刊工業新聞 ニュースイッチ 2018/05/25
  ・進化を重ねる人工知能の歴史 アンドエーアイ株式会社 2017/03/14

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