令和3年度の日本経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展に伴う各国での経済活動再開に伴い、輸出、設備投資を中心に持ち直しの動きを見せた。
一方で、令和3年度に入っても、度々感染再拡大が繰り返され、その都度行動制限・自粛が図られたことから、個人消費を中心に経済活動は抑制された。また、世界的な需要回復に伴う原材料価格の上昇や半導体不足による供給制約は、生産活動への大きな下振れリスクとなった。
こうしたことから、日本経済の持ち直しの動きは、緩やかなものとなった。
令和3年度の名目国内総生産は550兆5304億円で、前年度比2.4%増と2年ぶりの増加となった。実質国内総生産(平成27暦年連鎖価格)は540兆7961億円で、前年度比2.5%増と3年ぶりの増加となった。
令和3年度の群馬県経済は、名目、実質ともにプラスとなった。
名目県内総生産は9兆1410億円で、前年度比5.4%増となった。実質県内総生産(平成27暦年連鎖価格)は9兆1619億円で、前年度比5.5%増となり、名目、実質ともに4年ぶりの増加となった。
また、県民所得は6兆1402億円で、前年度比6.7%増と4年ぶりの増加となった。これを令和3年10月1日現在の総人口で除した1人当たり県民所得は318万7千円で、前年度比7.4%増となった。
県内総生産を生産側からみると、本県の基幹産業である製造業は、主力の輸送用機械製造業が大幅増となったほか、はん用・生産用・業務用機械製造業も大幅に増加した。更に食料品製造業や化学工業なども高い伸びを示し、製造業全体で2桁増となった。また、非製造業では、卸売・小売業が大きく伸びたほか、運輸・郵便業や、金融・保険業、保健衛生・社会事業なども増加した。このため、県内総生産は5%を超える高い伸びを示した。
生産活動が持ち直したことにより、県民所得も増加に転じた。特に民間法人企業が収益を回復させ、民間法人企業所得が3割増加したことなどから、県民所得は7%近い高い伸びとなり、1人当たり県民所得も大きく増加した。
県内総生産を支出側からみると、個人消費や企業の設備投資などの県内需要も移輸出などの県外需要もともに増加となった。
令和3年度の県内総生産(生産側)は第1表のとおり、9兆1410億円で前年度を4656億円上回り、名目経済成長率は5.4%増(令和2年度5.7%減)と4年ぶりに増加した。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成27暦年連鎖価格)でみると9兆1619億円で、前年度を4785億円上回り、実質経済成長率は5.5%増(同6.4%減)と4年ぶりに増加した。
なお、国の経済成長率は名目で2.4%増、実質で2.5%増となっている。
県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2表のとおりである。
第1次産業(農林水産業)は、農業が大幅に減少し、全体で11.8%減と2桁減となった。
第2次産業のうち製造業は、主力の輸送用機械製造業が29.2%増と大幅増となったほか、はん用・生産用・業務用機械製造業も22.5%増と大幅に増加した。更に食料品製造業や化学工業なども高い伸びを示し、製造業全体では11.9%増と2桁増となった。建設業は、0.5%減と3年連続の減少となった。第2次産業全体では、10.3%増となった。
第3次産業は、卸売・小売業が8.3%増と大きく伸びたほか、運輸・郵便業が5.3%増、金融・保険業が4.8%増、保健衛生・社会事業が4.3%増、専門・科学技術、業務支援サービス業が3.7%増など比較的高い伸びを示した産業の影響で、宿泊・飲食サービス業の8.1%減など減少した産業もみられたものの、第3次産業全体では、2.1%増と2年ぶりのプラスとなった。
産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3表のとおりである。
第1次産業は1.1%、第2次産業は41.2%、第3次産業は57.7%となった。
県民所得(分配)は第4表のとおり、6兆1402億円で6.7%増と4年ぶりに増加した。
なお、国民所得(分配)は395兆9324億円、5.5%増であった。
項目別の内訳は第5表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9割近くを占める賃金・俸給が2.5%増となり、全体では2.5%増と2年ぶりの増加となった。
財産所得は、受取が4.2%増、支払が3.1%減で、全体で4.6%増となった。
企業所得は、生産活動が持ち直したことから、特に民間法人企業の収益が押し上げられ、民間法人企業所得が30.3%増と高い伸びを示した。また、公的企業所得も74億円の赤字と、前年度の173億円から赤字幅を縮小させた。この結果、個人企業所得は4.3%減少したものの、企業所得全体では18.9%増と高い伸びを示した。
県民所得(分配)を総人口で除した1人当たり県民所得は第6表のとおり318万7千円と 前年度を21万9千円(7.4%)上回り、2年ぶりに300万円台を回復した。
なお、1人当たり国民所得は315万5千円、6.1%増であった。
県内総生産(支出側)の名目値は第7表のとおり、9兆1410億円、5.4%増となった。また、実質値(平成27暦年連鎖価格)は、9兆1619億円、5.5%増となった。
なお、国内総生産(支出側)は名目で2.4%増、実質で2.5%増となった。
県内総生産(支出側)を項目別にみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出が増加したことから、2.6%増と3年ぶりの増加となった。
地方政府等最終消費支出は、都道府県、市町村、地方社会保障基金の全てが増加したことから、4.9%増と5年連続の増加となった。
県内総資本形成は、公的部門は大幅に減少したものの、民間部門は住宅、企業設備ともに増加したことから、3.5%増と3年ぶりに増加となった。
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