令和5 年度の日本経済は、5 月に新型コロナの感染症法上の位置付けが5 類へ移行し、社会経済活動の正常化が進んだことから、個人消費は、飲食・宿泊などの対面サービスの回復に加え、インバウンド需要の増加もあり、持ち直しの動きが続いた。また、企業収益は過去最高を更新するなど企業活動は堅調に推移し、景気は緩やかに回復した。
一方で、企業活動の好調さが必ずしも設備投資や賃金の増加に結び付かず、内需は力強さを欠いた。春闘の賃上げ率は30 年ぶりの高い伸びとなったものの、輸入物価の上昇を起点とした食料品・電気料金の値上げや原材料・燃料価格の高止まりが継続し、名目賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、実質賃金は減少傾向が続いた。
外需については、半導体の供給制約が緩和したことで自動車を中心に輸出が持ち直したが、年末以降は、中国における不動産市場の停滞や欧州経済の弱さなどが影響し、持ち直しの動きに足踏みがみられた。
令和5 年度の名目国内総生産は前年度比4.9%増、実質国内総生産(平成27 暦年連鎖価格)は前年度比0.7%増と、いずれも3 年連続の増加となった。
令和5 年度の名目県内総生産は前年度比2.2%増、実質県内総生産(平成27暦年連鎖価格)は前年度比0.7%減で、名目は3 年連続の増加となったが、実質は3 年ぶりの減少となった。
また、県民所得は前年度比2.6%増で3 年連続の増加となり、これを令和5 年10 月1 日現在の総人口で除した1人当たり県民所得は前年度比3.2%増で、前年度から10 万9 千円増加し、352 万3 千円となった。
令和5 年度の群馬県経済は、名目はプラス、実質はマイナスとなった。
本県の基幹産業である製造業では、主力の輸送用機械製造業が大幅に減少したほか、化学工業なども減少し、一次金属製造業など増加した産業もあったものの、製造業全体で減少となった。一方、非製造業では、宿泊・飲食サービス業が大きく伸びたほか、卸売・小売業や運輸・郵便業なども増加した。この結果、県内総生産の伸びはプラスを維持し、3 年連続の増加となった。しかし、その伸びは2 %を僅かに超える程度で、令和3 年度及び4 年度を大きく下回るものとなった。
県内総生産の伸びの鈍化を受けて、民間法人企業所得が伸び悩んだことから、県民所得全体の伸びは抑えられ、3 年連続の増加とはいえ、令和3 年度及び4 年度を大きく下回る増加率となった。これにより、1 人当たり県民所得も、低い伸びとなった。
県内総生産を支出側からみると、家計最終消費支出や県内総資本形成などの項目で、伸びが大きく鈍化した。
令和5 年度の県内総生産(生産側)は第1 表のとおり、9 兆8988 億円で前年度を2160 億円上回り、名目経済成長率は2.2%増(令和4 年度 5.6%増)と3 年連続で増加した。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成27 暦年連鎖価格)でみると9 兆4416 億円で、前年度を672 億円下回り、実質経済成長率は0.7%減(同 3.7%増)と3 年ぶりに減少した。
なお、国の経済成長率は名目で4.9%増、実質で0.7%増であった。



県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2 表のとおりである。
第1 次産業(農林水産業)は、農業が14.2%増、全体で13.5%増となった。
第2 次産業のうち製造業は、主力の輸送用機械製造業が6.9%減となり、化学工業も2.1%減となった。このため、一次金属製造業が21.4%増、食料品製造業が3.6%増など増加した産業もあったものの、製造業全体では0.4%減となった。建設業は、10.0%増と2 桁増となった。第2 次産業全体では、0.6%増と3 年連続の増加となったものの、1%を割る低い伸び率であった。
第3 次産業は、宿泊・飲食サービス業が35.1%増と2 年連続の2 桁増となったほか、卸売・小売業が5.4%増、運輸・郵便業が16.3%増、専門・科学技術、業務支援サービス業が5.3%増など比較的高い伸びを示した産業の影響で、金融・保険業の5.3%減など減少した産業もみられたものの、第3 次産業全体では、4.2%増となった。
県内総生産は、第1 次産業と第3 次産業が前年度より高い伸びとなったものの、前年度高い伸びをみせた第2 次産業の伸びが大きく落ち込んだことから、全体の伸びは大きく鈍化した。

産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3 表のとおりである。
第1 次産業は1.1%、第2 次産業は41.8%、第3 次産業は57.1%となった。
県民所得(分配)は第4 表のとおり、6 兆6997 億円で2.6%増と3 年連続で増加した。
なお、国民所得(分配)は437 兆7775 億円、6.9%増であった。
項目別の内訳は第5 表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9 割近くを占める賃金・俸給が2.0%増となり、全体では1.7%増と3 年連続の増加となった。
財産所得は、受取が5.7%増、支払が32.8%減で、全体で7.2%増となった。
企業所得は、生産活動の伸びが鈍化したことを反映して、特に民間法人企業の収益が押し下げられ、民間法人企業所得は3.9%増と過去2 年の伸びを大きく下回った。また、公的企業所得も8 億円の赤字と、僅かではあるが2 年ぶりの赤字となった。この結果、企業所得全体では3.5%増と、過去2 年の2 桁増から大きく伸びが縮小した。


県民所得(分配)を総人口で除した1 人当たり県民所得は第6 表のとおり352 万3 千円と前年度を10 万9 千円(3.2%)上回った。
なお、1 人当たり国民所得は352 万1 千円、7.4%増であった。
県内総生産(支出側)の名目値は第7 表のとおり、9 兆8988 億円、2.2%増となった。また、実質値(平成27 暦年連鎖価格)は、9 兆4416 億円、0.7%減となった。
なお、国内総生産(支出側)は名目で4.9%増、実質で0.7%増となった。
県内総生産(支出側)を項目別にみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出の増加率鈍化に対応して、1.9%増と前年度の5.5%増から伸びが縮小した。
地方政府等最終消費支出は、地方社会保障基金が3 年連続増加となったものの、都道府県、市町村が減少したことから、2.2%減と7 年ぶりの減少となった。
県内総資本形成は、民間企業設備が前年度の2 桁増から伸びが鈍化したほか、在庫変動も大きくマイナスに寄与したことなどから、1.5%増と前年度の2 桁増から大幅に伸びを縮めた。

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