日本経済は、平成21年以降、リーマンショックによる急激な景気悪化から回復を続け、平成23年3月の東日本大震災により一時的に落ち込んだものの、回復基調を維持していた。ところが、平成24年に入ると、春先から欧州政府債務危機を背景にした世界経済の停滞により輸出が大幅に減速し、更に夏以降、エコカー補助金の終了に伴って、個人消費が落ち込んだことなどから、我が国の景気は急速に冷え込んだ。
平成24年末になると、政権交代に伴う経済対策への期待などから円安と株高が進行し、これを受けて、家計や企業のマインドが好転する。平成25年初から、個人消費は活気を取り戻し、実体経済は再び改善方向に向かい始めた。
平成24年度の国内総生産は、名目値で前年度比0.2%減(平成23年度1.4%減)と2年連続の減少、実質値(平成17暦年連鎖価格)で0.7%増(平成23年度0.3%増)と3年連続の増加となった。
平成24年度の群馬県経済は、輸送用機械を中心とした製造業に特化した産業構造をもつことから、春先からの世界経済の停滞や、エコカー補助金の終了の影響を他の地域より強く受け、県内総生産は4-6月期、7-9月期共に前期比で国以上に減少した。しかし、民間企業の積極的な設備投資が行われていたことなどから、年末から持ち直しの動きが現れ、県内総生産は国より1期早い10-12月期にプラスに転じた。
平成24年度の県内総生産は、名目値で7兆5637億円となり、対前年度比0.3%増(平成23年度0.3%増)と3年連続で増加した。実質値(平成17暦年連鎖価格)では8兆1792億円となり、対前年度比0.0%増(平成23年度2.2%増)と3年連続で増加した。
県民所得は、対前年度比で0.2%増(平成23年度0.8%増)と3年連続の増加となった。その内訳をみると、県民雇用者報酬が1.8%減、財産所得が1.7%増、企業所得が3.7%増であった。
また、県民所得を総人口で除した1人当たり県民所得は、対前年度比0.6%増(平成23年度1.1%増)で、前年度から1万7千円増加し、290万1千円となった。
平成24年度の県内総生産は第1表のとおり、7兆5637億円で前年度を259億円上回り、名目経済成長率は0.3%増(平成23年度 0.3%増)となった。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成17暦年連鎖価格)でみると県内総生産は8兆1792億円で、前年度を30億円上回り、実質経済成長率は0.0%増(平成23年度 2.2%増)となった。
なお、平成24年度の国の経済成長率は名目で0.2%減、実質で0.7%増となっている。
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(注)総資本形成に係る消費税控除及び輸入品に課される税・関税加算後のデータ。 |
(注)実質値は連鎖方式により求めたものである。
県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2表のとおりである。
第1次産業(農林水産業)は、農業が増加したため、全体で1.1%増となり2年ぶりに増加した。
第2次産業のうち製造業は、輸送用機械、その他の製造業などが増加したため、0.0%増となり3年連続で増加した。建設業は、0.4%増となり6年ぶりに増加した。第2次産業全体では0.1%増となり3年連続で増加した。
第3次産業は、サービス業、情報通信業などが増加した一方、電気・ガス・水道業、運輸業などが減少したため、全体では0.5%増となり3年連続で増加した。
第2表 産業別県内総生産
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産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3表のとおりである。
第1次産業は1.4%、第2次産業は37.4%、第3次産業は61.2%となった。
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(注)産業構造は、第2表「産業別県内総生産」の構成比。 |
県民所得は第4表のとおり、5兆7787億円で0.2%増となった。
なお、国民所得は351兆1139億円、0.6%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成23年度 | 平成24年度 | 23 | 24 | |
県 | 億円 57,695 |
億円 57,787 |
% 0.8 |
% 0.2 |
国 | 億円 3,490,563 |
億円 3,511,139 |
% -1.0 |
% 0.6 |
県民所得を総人口で除した1人当たり県民所得は第5表のとおり290万1千円で、前年度を1万7千円上回り、0.6%増となった。
なお、1人当たり国民所得は275万4千円、0.8%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成23年度 | 平成24年度 | 23 | 24 | |
県 | 千円 2,884 |
千円 2,901 |
% 1.1 |
% 0.6 |
国 | 千円 2,733 |
千円 2,754 |
% -0.8 |
% 0.8 |
県/国 | % 105.5 |
% 105.3 |
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項目別の内訳は第6表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9割近くを占める賃金・俸給が2.2%減と3年ぶりに減少し、全体で1.8%減となった。
財産所得は、受取が1.3%増、支払が0.1%増で、全体で1.7%増となった。
企業所得は、民間法人企業が4.0%増、公的企業は▲124億円から▲80億円への増加、個人企業は2.1%増となり、全体では3.7%増となった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成23年度 | 平成24年度 | 23 | 24 | 23 | 24 | |
県民雇用者報酬 賃金・俸給 財産所得 受取 支払 企業所得 民間法人企業 公的企業 個人企業 |
億円 35,851 30,615 3,753 4,913 1,160 18,091 12,253 -124 5,961 |
億円 35,216 29,943 3,817 4,979 1,161 18,754 12,748 -80 6,086 |
% 1.8 1.0 6.5 5.5 2.3 -2.3 -3.0 − -1.5 |
% -1.8 -2.2 1.7 1.3 0.1 3.7 4.0 − 2.1 |
% 62.1 53.1 6.5 8.5 2.0 31.4 21.2 -0.2 10.3 |
% 60.9 51.8 6.6 8.6 2.0 32.5 22.1 -0.1 10.5 |
県民所得 | 57,695 | 57,787 | 0.8 | 0.2 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の名目値は第7表のとおり、7兆5637億円、0.3%増となった。
また、実質値(平成17暦年基準固定基準年方式)は、8兆4587億円、0.4%増となった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成23年度 | 平成24年度 | 23 | 24 | 23 | 24 | |
民間最終消費支出 家計最終消費支出 政府最終消費支出 総資本形成 財貨サービスの純移出 (含む統計上の不突合) |
億円 42,319 41,410 13,811 13,198 6,049 |
億円 42,481 41,527 13,856 13,750 5,550 |
% -0.4 -0.7 1.6 0.9 1.8 |
% 0.4 0.3 0.3 4.2 -8.2 |
% 56.1 54.9 18.3 17.5 8.0 |
% 56.2 54.9 18.3 18.2 7.3 |
県内総生産(支出側) | 75,378 | 75,637 | 0.3 | 0.3 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の内訳をみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出が0.3%増となり、全体で0.4%増と5年ぶりの増加となった。
政府最終消費支出は、国、県及び市町村は減少したが、社会保障基金が増加したため、0.3%増と6年連続で増加した。
総資本形成は、在庫品増加は減少したが、総固定資本形成が増加したため、全体では4.2%増と2年連続の増加となった。
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(注)この統計表はExcel形式で作成されています。