平成24年春先から、欧州政府債務危機を背景にした世界経済の停滞などの影響により失速していた日本経済は、平成24年末の政権交代に伴って、新政権の経済対策への期待から円安と株高が進行し、家計や企業のマインドが好転したことなどにより持ち直しに転じた。
平成25年に入ると、個人消費が活気を取り戻し、積極的な財政政策と共に、内需中心の景気回復を主導した。この間、雇用所得環境や企業業績の改善が続き、年後半になると、力強さを欠いていた設備投資にも増勢の動きがみられるようになった。このように、所得から支出への前向きな循環が形成されていく中で、景気回復の足取りは確かのものとなっていった。
平成25年末になると、翌年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響を受けることとなり、旺盛な個人消費や住宅投資により、国内総生産は更に押し上げられた。
平成25年度の国内総生産は、1.8%増(平成24年度0.1%増)と2年連続の増加、実質値(平成17年暦年連鎖価格)で2.1%増(平成24年度1.0%増)と4年連続で増加となった。
群馬県では、平成24年度から旺盛な民間企業の設備投資が継続しており、平成25年度に入り積極的な財政政策が計られると、県内の建設投資は極めて高い伸びを示すようになる。また、本県の基幹産業である製造業は、日本経済の回復に伴って国内市場が活気を取り戻したことなどにより、輸送機械製造業を中心に生産活動を活発化させ県内経済を牽引した。平成25年度の群馬県の県内総生産は、建設業と製造業の高い伸びに支えられて、全国を大きく上回る伸びとなった。
平成25年度の県内総生産は、名目値で7兆8250億円となり、対前年度比4.0%増(平成24年度0.1%増)と4年連続で増加した。実質値(平成17暦年連鎖価格)では8兆3939億円となり、対前年度比3.3%増(平成24年度0.3%減)と2年ぶりに増加した。
県民所得は、対前年度比で5.1%増(平成24年度0.2%増)と4年連続の増加となった。その内訳をみると、県民雇用者報酬が0.8%増、財産所得が8.3%増、企業所得が13.0%増であった。
また、県民所得を総人口で除した1人当たり県民所得は、対前年度比5.6%増(平成24年度0.6%増)で、前年度から16万2千円増加し、305万4千円となった。
平成25年度の県内総生産は第1表のとおり、7兆8250億円で前年度を2988億円上回り、名目経済成長率は4.0%増(平成24年度 0.1%増)となった。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成17暦年連鎖価格)でみると県内総生産は8兆3939億円で、前年度を2697億円上回り、実質経済成長率は3.3%増(平成24年度 0.3%減)となった。
なお、平成25年度の国の経済成長率は名目で1.8%増、実質で2.1%増となっている。
|
||||||||||||||||||||||
(注)総資本形成に係る消費税控除及び輸入品に課される税・関税加算後のデータ。 |
(注)実質値は連鎖方式により求めたものである。
県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2表のとおりである。
第1次産業(農林水産業)は、農業が増加したため、全体で2.5%増となり2年連続で増加した。
第2次産業のうち製造業は、輸送用機械、一般機械などが増加したため、6.6%増となり4年連続で増加した。建設業は、24.2%増となり2年連続で増加した。第2次産業全体では9.0%増となり4年連続で増加した。
第3次産業は、金融・保険業、運輸業などが減少した一方、卸売・小売業、サービス業などが増加したため、全体では0.7%増となり2年ぶりに増加した。
第2表 産業別県内総生産
|
産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3表のとおりである。
第1次産業は1.4%、第2次産業は39.5%、第3次産業は59.1%となった。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(注)産業構造は、第2表「産業別県内総生産」の構成比。 |
県民所得(分配)は第4表のとおり、6兆578億円で5.1%増となった。
なお、国民所得(分配)は362兆550億円、2.9%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成24年度 | 平成25年度 | 24 | 25 | |
県 | 億円 57,613 |
億円 60,578 |
% 0.2 |
% 5.1 |
国 | 億円 3,519,578 |
億円 3,620,550 |
% 0.7 |
% 2.9 |
県民所得(分配)を総人口で除した1人当たり県民所得は第5表のとおり305万4千円で、前年度を16万2千円上回り、5.6%増となった。
なお、1人当たり国民所得は284万5千円、3.0%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成24年度 | 平成25年度 | 24 | 25 | |
県 | 千円 2,892 |
千円 3,054 |
% 0.6 |
% 5.6 |
国 | 千円 2,761 |
千円 2,845 |
% 0.9 |
% 3.0 |
県/国 | % 104.7 |
% 107.3 |
− |
− |
項目別の内訳は第6表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9割近くを占める賃金・俸給が1.0%増と2年ぶりに増加し、全体で0.8%増となった。
財産所得は、受取が6.6%増、支払が0.6%増で、全体で8.3%増となった。
企業所得は、民間法人企業が17.8%増、公的企業は▲149億円から▲141億円への増加、個人企業は2.4%増となり、全体では13.0%増となった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成24年度 | 平成25年度 | 24 | 25 | 24 | 25 | |
県民雇用者報酬 賃金・俸給 雇主の社会負担 財産所得 受取 支払 一般政府 家計 企業所得 民間法人企業 公的企業 個人企業 |
億円 35,425 30,155 5,270 3,826 4,950 1,124 -410 4,194 18,362 12,505 -149 6,006 |
億円 35,691 30,465 5,226 4,144 5,274 1,130 -279 4,379 20,743 14,733 -141 6,151 |
% -1.9 -2.3 0.5 1.9 0.8 -2.7 − 2.4 3.9 4.4 − 1.8 |
% 0.8 1.0 -0.8 8.3 6.6 0.6 − 4.4 13.0 17.8 − 2.4 |
% 61.5 52.3 9.1 6.6 8.6 2.0 -0.7 7.3 31.9 21.7 -0.3 10.4 |
% 58.9 50.3 8.6 6.8 8.7 1.9 -0.5 7.2 34.2 24.3 -0.2 10.2 |
県民所得 | 57,613 | 60,578 | 0.2 | 5.1 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の名目値は第7表のとおり、7兆8250億円、4.0%増となった。
また、実質値(平成17暦年基準固定基準年方式)は、8兆8048億円、4.9%増となった。。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成24年度 | 平成25年度 | 24 | 25 | 24 | 25 | |
民間最終消費支出 家計最終消費支出 政府最終消費支出 総資本形成 財貨サービスの移出入 (純),統計上の不突合 |
億円 42,252 41,280 13,907 14,116 4,987 |
億円 43,159 42,167 13,912 15,382 5,796 |
% 0.2 0.0 0.5 7.4 -17.8 |
% 2.1 2.1 0.0 9.0 16.2 |
% 56.1 54.8 18.5 18.8 6.6 |
% 55.2 53.9 17.8 19.7 7.4 |
県内総生産(支出側) | 75,262 | 78,250 | 0.1 | 4.0 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の内訳をみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出が2.1%増となり、全体で2.1%増と2年連続の増加となった。
政府最終消費支出は、国、県及び市町村は減少したが、社会保障基金が増加したため、0.0%増と7年連続で増加した。
総資本形成は、在庫品増加は減少したが、総固定資本形成が増加したため、全体では9.0%増と2年連続の増加となった。
(注)PDF形式のファイルをご覧になるには、アドビ社のアクロバットリーダーが必要です。
お持ちでない方は こちら (アドビ社のダウンロードページ)から無料でダウンロードできます。
(注)この統計表はExcel形式で作成されています。