日本経済は、平成24年末に持ち直しに転じて以降、企業収益が改善し、それが賃金上昇と雇用拡大をもたらしてきた。これにより、消費が拡大する一方で、企業所得の改善は積極的な設備投資を促し、国内需要を押し上げた。そして、国内需要の拡大は、更なる企業収益の拡大に結びつく。所得から支出への前向きな循環が形成されていき、その流れの中で、景気回復の足取りは確かのものとなっていった。
しかし、回復基調にあった日本経済は、平成26年4月を挟んで、消費税率引上げの影響を受けることとなる。前年秋以降駆け込み需要の影響で盛り上がった消費は、消費税率引上げを機に大きく落ち込む。更に、平成26年夏季には長雨や台風襲来といった天候不順の影響もあり、国内経済には一時的に押し下げ圧力がかかった。
平成26年度の国内総生産は、1.5%増(平成25年度1.7%増)と3年連続の増加となったものの、実質値(平成17年暦年連鎖価格)では1.0%減(平成25年度2.0%増)と5年ぶりの減少となった。
群馬県では、全国と同様に消費税率引上げの影響を受け、平成26年4−6月期には、民間最終消費支出は全国と同程度の落ち込みを見せる。資本形成についても民間住宅投資が大きく落ち込むなど、1年を通じて本県の県内需要は全国と同様に力強さに欠ける動きとなった。
しかし、本県の基幹産業である製造業は、海外での販売が好調であった輸送機械製造業などを中心に活発な生産活動を続けた。
平成26年度の群馬県の県内総生産は、主に製造業に押し上げられて、全国を上回る伸びとなり、全国では減少に転じた実質値についても増加を維持した。
平成26年度の県内総生産は、名目値で8兆55億円となり、対前年度比2.6%増(平成25年度3.9%増)と5年連続で増加した。実質値(平成17暦年連鎖価格)では8兆4155億円となり、対前年度比0.4%増(平成25年度3.3%増)と2年連続で増加した。
県民所得は、対前年度比で1.0%増(平成25年度5.1%増)と5年連続の増加となった。その内訳をみると、県民雇用者報酬が1.1%増、財産所得が5.0%増、企業所得が0.1%減であった。
また、県民所得を総人口で除した1人当たり県民所得は、対前年度比1.4%増(平成25年度5.5%増)で、前年度から4万2千円増加し、309万2千円となった。
平成26年度の県内総生産は第1表のとおり、8兆55億円で前年度を2032億円上回り、名目経済成長率は2.6%増(平成25年度 3.9%増)となった。また、物価変動分を差し引いた実質値(平成17暦年連鎖価格)でみると県内総生産は8兆4155億円で、前年度を349億円上回り、実質経済成長率は0.4%増(平成25年度 3.3%増)となった。
なお、平成26年度の国の経済成長率は名目で1.5%増、実質で1.0%減となっている。
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(注)総資本形成に係る消費税控除及び輸入品に課される税・関税加算後のデータ。 |
(注)実質値は連鎖方式により求めたものである。
県内総生産(生産側)の名目値を産業別にみると第2表のとおりである。
第1次産業(農林水産業)は、農業が減少したため、全体で2.1%減となり3年ぶりに減少した。
第2次産業のうち製造業は、輸送用機械、一般機械などが増加したため、8.8%増となり3年連続で増加した。建設業は、11.2%減となり2年ぶりに減少した。第2次産業全体では、5.6%増となり3年連続で増加した。
第3次産業は、金融・保険業、運輸業などが減少した一方、サービス業などが増加したため、全体では0.3%増となり2年連続で増加した。
第2表 産業別県内総生産
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産業構造の推移を県内総生産の構成比によって比較すると、第3表のとおりである。
第1次産業は1.3%、第2次産業は40.8%、第3次産業は57.9%となった。
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(注)産業構造は、第2表「産業別県内総生産」の構成比。 |
県民所得(分配)は第4表のとおり、6兆1090億円で1.0%増となった。
なお、国民所得(分配)は364兆4441億円、1.5%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成25年度 | 平成26年度 | 25 | 26 | |
県 | 億円 60,490 |
億円 61,090 |
% 5.1 |
% 1.0 |
国 | 億円 3,591,151 |
億円 3,644,441 |
% 2.3 |
% 1.5 |
県民所得(分配)を総人口で除した1人当たり県民所得は第5表のとおり309万2千円で、前年度を4万2千円上回り、1.4%増となった。
なお、1人当たり国民所得は286万8千円、1.7%増であった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | ||
平成25年度 | 平成26年度 | 25 | 26 | |
県 | 千円 3,050 |
千円 3,092 |
% 5.5 |
% 1.4 |
国 | 千円 2,821 |
千円 2,868 |
% 2.4 |
% 1.7 |
県/国 | % 108.1 |
% 107.8 |
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項目別の内訳は第6表のとおりである。
県民雇用者報酬は、その9割近くを占める賃金・俸給が1.3%増と2年連続で増加し、全体で1.1%増となった。
財産所得は、受取が3.9%増、支払が0.2%減で、全体で5.0%増となった。
企業所得は、民間法人企業が1.0%増、公的企業は▲144億円から▲79億円への増加、個人企業は3.7%減となり、全体では0.1%減となった。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成25年度 | 平成26年度 | 25 | 26 | 25 | 26 | |
県民雇用者報酬 賃金・俸給 雇主の社会負担 財産所得 受取 支払 一般政府 家計 企業所得 民間法人企業 公的企業 個人企業 |
億円 35,781 30,531 5,250 4,133 5,269 1,136 -277 4,368 20,576 14,565 -144 6,155 |
億円 36,188 30,923 5,266 4,341 5,475 1,134 -216 4,512 20,561 14,712 -79 5,927 |
% 0.8 1.1 -0.9 8.8 6.9 0.4 − 4.8 12.5 17.2 − 2.4 |
% 1.1 1.3 0.3 5.0 3.9 -0.2 − 3.3 -0.1 1.0 − -3.7 |
% 59.2 50.5 8.7 6.8 8.7 1.9 -0.4 7.2 34.0 24.1 -0.2 10.2 |
% 59.2 50.6 8.6 7.1 9.0 1.9 -0.4 7.4 33.7 24.1 -0.1 9.7 |
県民所得 | 57,613 | 60,578 | 0.2 | 5.1 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の名目値は第7表のとおり、8兆55億円、2.6%増となった。
また、実質値(平成17暦年基準固定基準年方式)は、8兆6746億円、0.8%減となった。。
項 目 | 実 数 | 増 加 率 | 構 成 比 | |||
平成25年度 | 平成26年度 | 25 | 26 | 25 | 26 | |
民間最終消費支出 家計最終消費支出 政府最終消費支出 総資本形成 財貨サービスの移出入 (純),統計上の不突合 |
億円 43,693 42,701 13,937 15,482 4,910 |
億円 43,253 42,311 14,185 15,368 7,248 |
% 2.2 2.2 0.0 9.6 14.0 |
% -1.0 -0.9 1.8 -0.7 47.6 |
% 56.0 54.7 17.9 19.8 6.3 |
% 54.0 52.9 17.7 19.2 9.1 |
県内総生産(支出側) | 75,262 | 78,250 | 3.9 | 2.6 | 100.0 | 100.0 |
県内総生産(支出側)の内訳をみると、民間最終消費支出は、その大半を占める家計最終消費支出が0.9%減となり、全体で1.0%増と2年ぶりの減少となった。
政府最終消費支出は、国出先機関は減少したが、主に社会保障基金が増加したため、1.8%増と8年連続で増加した。
総資本形成は、民間住宅が減少したため、全体では0.9%増と2年ぶりの減少となった。
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(注)この統計表はExcel形式で作成されています。